タンパク質と温度の科学

低温調理は科学的な料理とも言われます。それはタンパク質を温度と時間とでコントロールするという考えから来ています。

肉を構成するタンパク質は、ミオシン(Myosin)とアクチン (Actin) という二種類からできてます(あとコラーゲンもありますが)。ミオシンを熱で変性させると肉は固くなりませんが、アクチンが変性すると肉が固くなり水分が外に出てしまいます。人が美味しいと感じる要素はいくつかありますが、その中でも柔らかさは重要な要素の一つです。

ミオシンは50度から変性を始めますが、一方アクチンは66度から変性を始めます。そのため、例えば60度にすると「ミオシンには熱を加えて変性させるが、アクチンは変性させない」温度になり、「硬くないけど火は通っている」状態を作ることができます。

このように55℃〜65℃程度の温度で加熱することで、狙ったタンパク質だけを変質させることができます。一方この温度帯は細菌が瞬時に死ぬ温度では無いため、十分な加熱時間が必要です。

厚生労働省の食肉基準では「豚の食肉の中心部の温度を63°Cで30分間以上加熱するかこれと同等以上」とされています。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049964.html

『63℃30分』と同じ効果を得るための時間の計算式

『63℃30分』と言われていますが例えば60℃だとどうでしょうか?

大まかにですが以下の計算式で計算することができます。温度を変えて見てみてください。

必要な加熱時間は
です!

「63℃で30分と同等の加熱」に必要な時間。温度が低くなるとも指数的に時間がかかります。

注意点としては、この時間は肉の中心温度に対する加熱時間だという点です。Sous Vide (真空調理、低温調理)で有名なダグラス・ボールドウィンさんのウェブサイトでは理論的に必要な加熱時間の計算式とその表をみることができます。より科学的に知りたい方はぜひこの方のページを見てみてください。

A Practical Guide to Sous Vide Cooking
A detailed discussion of sous vide cooking.
タイトルとURLをコピーしました